慶長十八年銘唐津三耳茶壺 

出品オークション
品番
#001
サイズ
30×30×35
年代
慶長十八年(1613)五月十日
商品カテゴリ
最低入札価格
¥1,200,000.~
その他
『目の眼』(平成八年一月発行)所載 西岡小十旧蔵

物語

この茶壺は、佐賀県唐津市の甕屋谷窯でつくられた古唐津の作品です。古い時代の技法である「叩き」で形を整えており、内側にはその作業の跡として青海波文の模様が残っています。外側には茶色がかった釉薬がかけられ、高温で焼き上げられています。肩の部分には、釘を使って「慶長十八年(1613)五月十日」と彫り込まれた銘が残されています。

古唐津で年号入りの作品はとても珍しく、これまでに確認されているのはわずか二点だけです。ひとつは天正二十年(1592)の四耳茶壺、もうひとつは慶長二年(1597)の舟徳利です。今回の茶壺はそれらに続く三点目であり、茶壺としては二点目となります。

この茶壺は、釉薬の色合いや形、そして銘文の彫り方において、先行する二例とは違った特徴を見せています。それでも桃山時代の終わりごろ、唐津で茶の湯のための焼き物づくりが始まった時期を物語る、非常に貴重な作品といえるでしょう。

当時の日本では「ルソン茶壺」と呼ばれるフィリピン産の茶壺が大変人気を集めており、この作品を含む唐津の茶壺三点は、その影響を受けて国産でつくられた最初期のものと考えられます。特にこの壺の姿は、ルソンの茶壺にもっとも近い形をしています。

なお、日本最大の古唐津コレクションで知られる出光佐三の収集品にも、桃山時代の年号入り茶壺は含まれていません。このことからも、本作の稀少性と歴史的価値の高さがうかがえます。

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