染付伊勢物語文断片額(初期伊万里)
サイズ:陶片 約12.5×12cm|額 約22×22cm
最低入札価格:80,000円
初期伊万里の陶片に、和歌と柳の風景が染付で描かれた、静けさと詩情に満ちた一幅。
その和歌は『伊勢物語』第九段、「月やあらぬ 春はむかしの 春ならぬ 我身ひとつは もとの身にして」(在原業平)より。
れは、業平がかつての恋人を訪ねたときの歌です。
再会した彼女は、すでに別の男のもとに身を寄せており、二人の関係は過去のものとなっていました。そのとき業平が詠んだのがこの歌です。
「自然の風景(月や春)は変わらないように見える。けれど、恋も人の心も変わってしまった。自分だけが昔のまま…。」
という、時間と変化、そして取り残された想いをしみじみと表現しています。
欠けた一片に映る情景と詠み人の想いが、まるで時間の断片を切り取ったように心を打ちます。陶片は額装され、作品として再生されており、古陶の新たな在り方を示す意欲的な一作です。
A framed shard of early Imari porcelain featuring a poetic blue-and-white (sometsuke) design, inscribed with a waka from the Tales of Ise (Ise Monogatari).
The poem reads:
“Is it not the same moon? Is this not the spring of old?
Only I remain as I once was.”
– Ariwara no Narihira