新発田藩溝口家は信長、秀吉に仕えた溝口秀勝を祖とする。同家は五代藩主以降石州流茶道を嗜んだ家柄でもあり、十一代藩主・直溥(文政二・1819〜明治七・1874)の治世に蔵帳が整理され『新発田御道具帳』などに纏められている。帳には家祖以来収蔵してきた道具類が記録されており、蔵品には掲出のような蔵印が貼られる。なお、印にある碧雲山房とは十一代藩主・直訥(寛政十一・1799〜安政五・1858)の書屋であったとされており、「秘」印は同帳にある「御秘蔵」の分類に該当するものと考えられている。
参考:
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宮武慶二『新発田御道具帳にみる溝口家旧蔵の茶道具』(『文化情報学』第九巻第二号)
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宮武慶二『溝口家収蔵の茶道具拾遺(二)』(『文化情報学』第十一巻一号)