2020/06/26

美豆良(みずら)考


垂髪美豆良

 掲出の二体(木彫男神座像・木彫大黒天立像)は、異形の髪型を共通する。有職故実の碩学、江馬務が命名した垂髪美豆良である。江馬説に依れば、貴顕の男子は、三歳までは剃髪、幼児には垂髪、成人が近づくと美豆良を結った。垂髪美豆良は、垂髪を卒業して美豆良を結う直前の若年男子の髪型と示される。

 
A-076 美豆良神像 像高21

遺例は石清水八幡宮の神像に古例が観察され、聖徳太子画像の孝養像(十六歳像)の一部に散見される。これによって、掲出の男神座像が石清水の古例に等しいことが判然する。



Aー077 木彫拳印大黒天立像 9×10×19

対して大黒天は、寡聞にして初見であり、他に類をみない。大黒帽を被り印結して袋を背負い、小山形を座に起立する。大黒天には「大国主」との習合が語られるが、貴顕男子の若年の髪型の採用には、神佛相半ばする像主の、殊更に若さを強調したのではないだろうか。像姿は髪型だけでなく体形も若々しさを印象させる。作期には室町時代以前を設定したい。


古裂會113回オークションカタログ 73ページ 出品作品より



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

古美術骨董オークション 古裂會(こぎれかい)
https://www.kogire-kai.co.jp/

〒604-0811 京都市中京区堺町通二条上る 亀屋町176
TEL:075-254-8851  FAX:075-254-8854
WeChat IDkogire123

 

カタログ請求お問合せ